納棺師の仕事が広く知られるきっかけとなったのは、2008年に公開された映画『おくりびと』です。この作品は日本アカデミー賞やアカデミー賞外国語映画賞を受賞し、多くの人々に感動を与えました。それまであまり知られていなかった納棺師という職業が、一躍注目を浴び、その役割や重要性についての関心が高まりました。この映画を通じて、納棺師の仕事がどれほど敬意を持って行われるべきか、多くの人が理解するようになりました。
納棺師とは? 〜その役割と意義〜
納棺師は、故人を棺に納める前に、丁寧に清め、旅立ちの準備を整えるプロフェッショナルです。葬儀の一部として行われるエンゼルメイクやご納棺は、故人を安らかに送り出すためにさまざまな工程が含まれます。清拭や復元処置、エンゼルメイクといった作業を通じて、故人が生前に近い美しい姿で最期の別れを迎えることができるようサポートします。納棺師は、遺族の悲しみを少しでも和らげ、尊厳を持って故人を送り出す大切な役割を担っています。
納棺師の具体的な仕事内容
ご遺体の処置・清拭
納棺師はまず、故人の身体を丁寧に清拭します。注射の跡や口、鼻、耳などに綿を詰めるなど処置を行い、その後生前の表情に近づけるための処理を行います。
着せ替えとエンゼルメイク
清拭が終わると、故人が生前に好んでいた服や、宗教に基づいた衣装を選び着せ替えを行います。また、エンゼルメイクと呼ばれる作業では、故人に化粧を施し、生前の美しい姿を再現します。この際、遺族の希望によっては、故人が愛用していた化粧品を使うこともあります。これらの作業を通じて、納棺師は故人の尊厳を守りつつ、遺族が最期のお別れをするための準備を整えていきます。
ご納棺の儀式
お仕度が整った後、故人を棺に納めます。必要に応じてドライアイスを使い、遺体の保全を行います。また、副葬品として、故人が生前に大切にしていた物や、旅立ちの際に持たせたい物を一緒に納めることが一般的です。副葬品には火葬場の規定があるため、燃えるものなど制限はあるので詳細は葬儀社の担当者に確認の上でのご準備をおすすめします。
納棺師を依頼する際の費用や手配方法
納棺師を依頼する際の費用は、内容や場所によって異なります。弊社の場合ですと基本的なエンゼルメイクにかかる費用は45,000円です。これに加え、着せ替えや湯灌(ゆかん)などを希望する場合は、別途料金が追加になります。納棺師の手配は、葬儀社を通じて依頼するのが一般的で、事前に費用やサービス内容について確認しておくことが重要です。
納棺師の仕事の重要性
納棺師は、故人と遺族の最期の時間を大切にし、心を込めて故人を送り出すための重要な役割を担っています。特に高齢化が進む現代では、葬儀の数が増え、納棺師の役割はますます重要になっています。今後もその専門性や技術が一層求められるでしょう。