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エンバーミングとは? 基礎知識とその目的

近年、葬儀にまつわるご相談の中で「エンバーミング」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、多くの方にとってはまだなじみの薄い言葉ではないでしょうか。

この記事では、エンバーミングの基礎知識や目的について、分かりやすくご紹介いたします。


目次

エンバーミングとは何か?

エンバーミングとは、ご遺体の衛生保全と修復を目的とした専門的な処置です。防腐、殺菌、整容(お顔の修復や化粧)などを一体として行い、ご遺体を清潔で安全、かつ穏やかな表情で保つことができます

処置は、専門の資格を持つ技術者「エンバーマー」によって行われ、一般的には以下のような工程を含みます:

  • ご遺体の洗浄・消毒
  • 血液の除去と防腐液の注入
  • 顔色や表情の整容、化粧、着替え
  • 最終的な納棺の準備

これにより、常温で15日ほどの保存が可能になるとされ、ご家族がゆっくりとお別れの時間を持つことができます。


なぜエンバーミングが必要とされるのか?

エンバーミングは、日本よりも土葬文化が主流の欧米で一般的に広まってきた技術です。衛生上の安全や外観の整えを目的として、アメリカでは約50%以上の遺体に施されているといわれています。

一方、日本では火葬が99%以上と主流のため、必要とされる場面は比較的限られていますが、以下のようなケースでは大きな助けとなります:

  • 葬儀まで日数がかかる(10日以上など)
  • 海外へのご遺体搬送(空輸)を伴う場合
  • ご遺体の外傷が大きく、見た目を整えたいとき
  • 感染症対策として衛生面を確保したいとき

このように、ご遺族の思いや状況に応じて、エンバーミングは選択肢の一つとして考えられる技術です。


費用の目安と施術時間

  • 費用の相場:15万円〜25万円前後
  • 施術時間:約3〜4時間程度

※エンバーミングは医療行為ではないため、健康保険などは適用されません。


施術を行うには専用の施設が必要

施術には、専用の機器と処置施設が必要のため、自宅などでは行うことができません。
一旦、近隣のエンバーミングセンターにご遺体を搬送して処置を行う必要があります。


ラストメイクとの違いとは??

ラストメイクとは、葬儀前に納棺師などが行う、ご遺体のお顔や髪を整える処置のことです。
エンバーミングが長期保存や修復処置を含むのに対し、ラストメイクは短期保存に対応した整容に特化しています。

多くの家族葬では、ドライアイスによる保冷とラストメイクの組み合わせで十分なケースが多く、状況に応じて選ぶことが大切です。


まとめ:まずは正しく知ることから

エンバーミングは、決してすべての方に必要な処置ではありませんが、状況に応じては大きな安心とゆとりを与えてくれる手段です。

「何のために行うのか」「どのような技術なのか」を正しく理解することで、ご自身やご家族にとって最もふさわしい形でお別れの時間を過ごすことができます。

次回の記事では、「エンバーミングの提案に注意?」という内容について、より詳しくご説明いたします。

納棺師
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